個人タクシー協同組合免税業者排除の方針「独禁法違反の恐れ」
消費税のインボイス制度で、個人タクシー協同組合(個タク組合)が「タクシーチケットなどの共同事業から、免税事業者である個人タクシーを排除するのは、独占禁止法(独禁法)違反の恐れがある」―。日本共産党の小池晃参院議員が3月17日、財政金融委員会で行った質問に対し、公正取引委員会が明言しました。
この問題は、都内の個人タクシー運転手から、個タク組合が消費税のインボイス制度で免税事業者にインボイス登録を要請し、登録しない場合は、①チケット事業からの排除②あんどんの変更③組合加盟の印であるベルトライン(組合員と認識できる車体のライン)の使用停止―を迫られているとの情報が、全国商工団体連合会(全商連)に寄せられていたもの。
小池議員は「課税事業者にならないと、チケット事業に参加できないとか、配車アプリに登録しないというのは、独禁法上、問題があるのではないか」と質問。公正取引委員会の品川武・取引部長は「事業者団体が行う共同事業について、(消費税)課税事業者とならないことを理由として、共同事業から排斥をし、免税事業者の事業活動を困難にさせることなどによって、構成事業者に、その参加または利用に関して事業者間で差別的な取り扱いをするというようなことは、独占禁止法上問題となる恐れがある」と答弁しました。
小池議員の質問に先立つ10日、全商連は国土交通省に対し、「独占禁止法上の『不公正な取引方法』に当たるのではないか」と、ただしました。
国交省は「組合が決定した方針であり、利用者の混乱を避けるため、外観を変えるよう求めるのは、理解できる」とし、「チケット事業について、組合に聞き取りしたところ、インボイス登録と非登録で実務が膨大になるとのことだ。換金システムについて国交省が指導はできない」と述べつつ、「当該組合に対し、丁寧な対応を行うよう連絡する」と答えていました。
全商連の中山眞常任理事は「タクシー以外の公共交通機関の場合、3万円未満の旅客運送はインボイスの対象外とされている。個人タクシー事業者でも1万円を超える乗車は月に数回と聞いている。個人タクシーも対象外とすべきだし、そもそも事業者間に分断を持ち込むインボイス制度は即刻中止すべきだ」と話しています。