税務相談停止命令制度「学び合い規制しない」
「申告納税制度を尊重する」「税理士業務である『税務相談』に該当しない自発的取り組みは阻害しない」「命令処分を行う前に弁明の機会が与えられる」―。3月17日の参院財政金融委員会で、命令制度についての政府見解が答弁されました。
質問した小池晃議員(共産)は、命令制度の目的について「税務相談によって、脱税指南等によって不特定多数の者が脱税を行う等の行為を防止することが基本」であることを確認した上で、「命令制度創設後も申告納税制度を尊重した税務行政が行われるべきではないか」と追及。国税庁の星野和彦次長は「申告納税制度の下、納税者の納税義務の履行を適正かつ円滑に実現できるよう、税務行政を適切に執行する」と答弁。小池議員が「申告納税制度を尊重するということでよいか」と念押しすると同次官は「結構です」と明言しました。
税額など納税申告等に関わる助言について「業として行われている場合は、税理士法上の税務相談に該当し、税理士法違反となる場合もある」としつつも、「個別に判断する」と答弁。「脱税や不正還付の指南とは関係のない納税者同士の自発的な取り組みは規制の対象にならないとすべきではないか」との質問に対し、財務省の住澤整主税局長は「納税者同士で一般的な知識を学び合うという、税理士業務である税務相談に該当しないような取り組みを対象にするものではない」との見解を示しました。
命令制度では、財務大臣が税務相談の停止を命令した場合、3年間、インターネット上で閲覧できるようになっています。小池議員は「不服申し立てや裁判で命令が誤りと認められても、いったんネット上に出ると、情報を完全に消し去るのは困難だ。命令を出す前の適正手続きが必要ではないか」と強調し、同局長は「命令処分を行う際、行政手続法に定める手続きに従って弁明機会が事前に付与される」と説明しました。
小池議員は、法案の撤回とともに「税務行政のあらゆる面に適正手続きを貫き、納税者の人権を保障する権利憲章を早く制定すべきだ」と強く求めました。